新NISA口座:夫婦別々に開設すべきか、一緒にするべきか?その利点と考慮すべきポイントを詳しく解説

新NISA口座:夫婦別々に開設すべきか、一緒にするべきか?その利点と考慮すべきポイントを詳しく解説

「夫婦で新NISA口座を共有すべき、それとも個別に持つべき?」新NISA(新しいNISA)の登場により、投資の選択肢が広がる中で、夫婦間でこのような疑問を抱えることは決して珍しくありません。

新NISA口座は一人につき一口座の制限があり、それぞれが独自に運用できる機会を提供します。では、夫婦で資産を共有するメリットとは何でしょうか?それとも、個々の口座で管理する方がより大きな利益をもたらすのでしょうか?

この記事では、新NISAを夫婦でどのように利用するかについて、そのメリット、注意点、そして夫婦それぞれの投資戦略を詳しく解説します。夫婦での投資計画を立てる際に考慮すべき重要なポイントを押さえ、より賢く、効率的な投資生活を送るためのヒントを提供します。

新NISA口座は個人ごとに一つ限り

NISAは2014年1月に始まった少額投資非課税制度で、株式や投資信託などの売買から得られる利益が非課税となる仕組みです。この制度は、2014年の開始以来、何度かの改正を経て、2024年には新NISA(新しいNISA)へと移行しました。

新旧NISA制度の比較

NISA投資を行うには、専用の口座を開設する必要があります。

ポイントの解説
NISA口座は、一人につき一口座のみ開設可能です。夫婦がいる場合、それぞれが独自の名義で一口座ずつを持つことができますが、一人が複数のNISA口座を持つことは認められていません。

夫婦別々に新NISA口座を開設する利点

夫婦がそれぞれ新NISA口座を持つことの利点を掘り下げてみましょう。

年間および生涯の投資限度額が倍増

新NISAは、つみたて投資枠と成長投資枠の2つの枠を設けており、年間の投資可能額は最大360万円、生涯の投資上限額は1800万円です。この制度では、口座をいつでも開設でき、期限を気にすることなく非課税で運用することが大きなメリットですが、それぞれの投資金額には明確な上限が設定されています。

夫婦それぞれが自分のNISA口座を持つことで、世帯全体の年間および生涯の投資可能額が拡大します。

夫婦別々のNISA口座で目的別投資が可能に

資金を貯める際、目的ごとに口座を分けると、資金の増減を容易に管理できるのと同様に、NISA口座を使う場合も同じ原則が適用されます。

夫婦がそれぞれ独自のNISA口座を持つことで、各自の目的に応じた資産運用が行いやすくなります。たとえば、老後の生活費を夫のNISA口座で、趣味や特別な支出用の資金を妻のNISA口座で運用するなど、具体的な計画を立てやすくなります。

それぞれが投資商品を選択できる利点

夫婦間で投資の考え方やリスク許容度が異なる場合、一方が積極的な投資を求める一方で、もう一方は安全重視の運用を望むこともあります。

このような場合、夫婦が別々のNISA口座を持つことで、各自が自分に合った投資戦略を選び、好みの銘柄に投資する自由が増します

資産の管理に関しては、家庭によって異なりますが、夫婦で定期的に家計や投資の状況を確認することが望ましいです。口座は別にしても、年に一度または二度はお互いの運用状況を確認し合うことが推奨されます

離婚時のNISA口座管理の簡易化

夫婦が離婚する際には、結婚中に築いた財産を公平に分割する必要があり、NISA口座の資産も分与の対象となります。この点を考慮すると、夫婦が個別にNISA口座を持つ方が、離婚時の財産分与がスムーズに進むことが多いです

例えば、夫婦がそれぞれ別々のNISA口座を持ち、同額を同じ銘柄で投資していれば、運用結果がほぼ同じになるため、それぞれの資産が等価であれば分与も容易になります。一方で、共有のNISA口座を持っている場合、離婚に際して資産を売却し、それを分割する必要が出てきます。

注意点
投資が中断されると、資産の増加を促す複利効果を最大限に活用できなくなり、長期的な投資戦略において不利益を招くことになります。夫婦がそれぞれ独自に口座を持つことで、投資の自由度が高まり、離婚後も各自の資産運用を継続することが可能です。

参考:NISA 及びジュニア NISA の口座開設

相続税の最適化

配偶者が亡くなった場合、NISA口座の資産は相続財産となり、相続税の課税対象となります。相続税の負担を軽減するためには、課税対象資産を減らすことが有効です。そのため、夫と妻が個別にNISA口座を保有し、資産を分散して運用することは、相続税対策の一環として考慮する価値があります。

基礎控除と配偶者控除を含め、相続税に関する控除は大きく、これらを適切に利用することで、配偶者の税負担を軽減できます。ただし、相続の具体的な状況は家庭によって異なるため、専門家との相談が推奨されます。

基礎控除
3000万円+(600万円×法定相続人の数)

配偶者控除:配偶者への相続税軽減策

配偶者が受け取る遺産について、相続税が免除される金額は以下のいずれか高い額までです:

• 1億6000万円

• 配偶者の法定相続分相当額

新NISA口座は夫婦で一つに合わせるべきか?

新NISA口座を夫婦で一つにまとめるか、それぞれ別々に持つべきかは、多くの人が悩む問題です。

結論としては、夫婦が一つのNISA口座を共有する具体的なメリットは存在しません。一方で、夫婦がそれぞれ独自の口座を持つことには以下のようなメリットがあります:

もし夫婦のどちらか、あるいは両方が投資を得意としない場合、一つのNISA口座で十分と感じるかもしれません。そのような時は、IFAやFPなど、投資の専門家に相談することで、夫婦のニーズに合った投資戦略を立てることができます。

お互いの投資に対する意見を合わせた上で、専門家への相談を進めることが最適です。

夫婦で新NISAを効果的に利用するためのポイント

投資の目的と目標金額の設定

投資を開始する際に最初に定めるべきは、運用の最終目標となる金額です。具体的な投資の目的を明確にすることが重要です。これには、老後の生活費確保、子供の教育費用、住宅購入資金など、個々のニーズに応じた目的が含まれます。

目的がはっきりしていれば、目指すべき金額や投資期間が明確になり、選ぶべき金融商品や投資額の判断が容易になります。

リスク分散の重視

家計状況によって異なりますが、両方ともハイリスクな投資商品に集中すると、緊急事態が発生した際に対応が困難になるリスクがあります。

夫婦で投資を始める際は、各自のリスク許容度や投資方法について十分に話し合い、リスクを分散させる投資戦略を立てることが望ましいです。分散投資は、複数の異なる商品に分けて投資することでリスクを管理します。選択に迷う場合は、IFAやFPといった投資の専門家に相談するのが賢明です。

NISAを通じての投資監視と運用調整

NISA口座で行う投資信託や株式の運用は、株式市場の動向、為替の変動、政治的な要素や要人のコメントなど様々な外部要因により日々変動します。そのため、資産の状態を定期的にチェックすることは重要です

年に数回は投資の状況を確認し、必要に応じて資産のリバランス(資産の再配分)を行うことが賢明です。こうすることで、長期的な投資戦略を堅持し、市場の短期的な波に惑わされることなく安定して資産を成長させることができます。

夫婦間の贈与と贈与税の注意点

夫婦間であっても、お互いに資金を贈与する行為は贈与税法上の贈与に該当することがあります。ただし、日常的な生活費や子供の教育費など、生活に直接必要な支出は贈与税の対象外となることが多いです。

しかし、生活費として受け取った資金が余り、投資に回される場合は贈与税の課税対象になる可能性があります。贈与税は110万円の基礎控除が設けられており、年間の贈与総額がこの額を超えなければ、申告や納税の必要はありません。

夫婦間の贈与であっても、明確に贈与の事実を記録に残しておくことは、将来的な誤解や紛争を避けるために有効です。贈与契約書を作成することで、より安全に資金のやり取りを行うことが可能となります。

参考:贈与税の配偶者控除の特例

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